双頭魔人のおちゃめ(?)グッズ(1)
〜[猫になったクレール] Brandish4サイドストーリー〜



 神の塔、胎内3階にある道具屋、デュアル。客がいなくてもそこからはいつも賑やかな声が聞こえてくる。
それは、その店の店主である双頭の魔人のそれぞれが言い合う声だった。
身体は1つとはいえ、その頭部はそれぞれ自己を持ち、仲も良かったが、結構言い争いもしていた。
「だからさぁ、こんな塔の上の方はよしましょうってあれほど言ったじゃないのぉ。」
「そんな事今更言っても仕方ないでしょぉ?塔の上まで上がってこれるような強い男じゃなきゃいやだって言ったのは あんたでしょ?ヤスミン?」
「だってぇ・・こんなに暇だとは思ってもみなかったんですものぉ。誰も来ないなんてつまんないわぁ。ああ、いい男、来ないかしら?」
「何よぉ?私じゃ不足だって言うの?」
「そんなこと言ってないでしょ?お客様の話してるのよ。」
「ふん!そうかしら?ヤスミンって案外浮気性だから・・。」
「ま!あたしがいつ浮気したって言うの?こんなんで浮気できるわけないでしょ?」
「ま、まーねぇ・・胴体は同じなんだから、それはそうなんだけど・・。」
「気に入らないわねぇ、その言い方。言いたいことがあるのならはっきりおっしゃい、サブリナ?!」
そう、2人は双頭の魔人、外見は普通の人間なら震え上がるほど恐ろしい形相をしていた、が、それとは 真反対に、おかま言葉の(いや、実際におかまかも?)やさしい魔人であった。

「え?今誰か『おかま』とか言ったかしら?」
あ・・も、もとい!ミスターレディーです。はい。
(一睨みで凍りつくような視線に筆者は焦って訂正。)
「いやなのよねぇ、その言葉。品がないじゃない?今後気を付けてちょうだいな!」
(は・・はい、以後失言しないよう気を付けます。)
・・・・・
ということで、(どういう?)話を戻します。(汗


−バタン!−
「こんにちは!」
「あ!お客様よ!ほら、こんな事言ってる場合じゃなくってよ!」
「そ、そうね、いらっしゃいませ〜!」
慌てて戸口の方を向き、挨拶するヤスミン。
「あ・・あら・・」
店に入ってきたのは、彼らが期待していた屈強な男ではなく、いかにもか弱そうな まだ少女といっていい感じの巫女だった。
「あ・・あの・・・」
入ってきた少女は、2人のその凶暴極まりない顔を見て口ごもってしまった。
「心配いらなくてよ。この子、サブリナって言うの。見かけは怖いけど、結構やさしいのよ。」
自分の事は棚に上げて言うヤスミン。
「何言ってんのよ!あんたも十分怖いわよ!」
すかさずサブリナが応酬する。
「何よ?この子はあんたを見て怖がってんのよ!分かんないの?」
「違うわよ!あんたを見てにきまってるわよ!ヤスミン!」
「違わないわよ!」
「何よ?」
「何だってのよ?やる気?」
「あ・・あのぉ・・・・」
今にも取っ組み合いを始めそうな2人に、気をもんだその少女は、恐々声を掛けた。
「す、すみません、私がいけなかったんです。ちょっとびっくりしてしまっただけで・・そ、その・・。」
「あ、あら・・失礼。お客様の前で。おほほほほ!」
2人はその顔には似合いそうもない上品な笑いを見せる。
「あ・・い、いえ・・。」
そのあまりにものミスマッチな笑みに一層恐怖感が増す少女。
が、勇気をだして自己紹介した少女の名はクレールと言った。修行の為にこの 塔に来た巫女だった。
「ふ〜ん、そうなのぉ・・見たところいかにも苦労知らずのお嬢さんっていう 感じなのに、苦労してんのねー。」
ほろりとサブリナが涙を流す。
「ホントにねー。何か気の毒になってきちゃったわ。こんな怖い塔で修行だなんて。 でも、あたしが思うには、お嬢さんというより可愛らしい子猫ちゃんね。きゃっ!」
両手は使えないので、(片方はヤスミン用の腕)左手で片頬を包むようにしてはにかんでみせるサブリナ。
「うーーん・・子猫ちゃんか〜・・そうかもね!さすが、サブリナ、センスいいわぁ!」
「うふ♪」
「・・・そ、それはどうも・・。」
真っ青になりながらも応答するクレール。
あまりにも怖すぎる・・・・。怖すぎて何も言えない・・。
「そうだわ!子猫ちゃんにぴったりのアイテムが倉庫にあったはずだわ!」
「あ!そうだったわね!」
「今度来るまでに探しておくわ。必ずまた寄ってね!」
入手したアイテムの鑑定を終え、店から出ていこうとするクレールに、やさしく(?) 微笑んで言う2人に、作り笑顔で笑みを返すと、クレールは急いでそこを後にした。
「とっても親切でやさしい魔人さんなんだけど・・ち、ちょっと、ううん・・かなりかもしれないけど・・ あの笑顔は・・・怖いわね、やっぱり・・。」
そう思いながら、それでも2人の好意を無駄にしてはいけないと、また立ち寄ることを決心しながら クレールは先を進んだ。

そして、何度目かの再訪の時、ようやく探し出したというアイテムを出され、面食らうクレール。
確かに性能は申し分ないのだけれど・・・・。
「うーーん、やっぱりぴったりよ!子猫ちゃん♪」
着せ替え人形のごとく着せられたそのローブ(?)は、猫の着ぐるみとも言える『しっぽつきの服』そして、 『子猫の手袋』と杖の先に赤いリボンをつけた猫の顔の飾りがある『マタタビの杖』。
「きゃ〜っ!ホント、よく似合うわぁ!かっわいいわぁ〜!」
きゃっきゃっと大喜びの魔人にクレールは何も言い返すことはできない。いや、できるはずはない!
「ど、どうもありがとうございました。」
わざわざ自分の為に探してくれた大切なアイテム。いらないとも言えず、クレールは代金を払うと 早々に店を後にした。
−にゃぉ〜ん!−
試しに店を出てから、幻の猫が召喚できるというマタタビの杖を振ったクレールは、驚いて尻餅をついてしまう。
杖の先からは、クレールと同じくらいの大きさの真っ白な猫が躍り出、あっという間に そこにいた魔物に襲いかかり一呑みにすると、すっと姿を消したためだ。
「こ・・これって・・見かけによらず怖いものなのね。とすると、わざわざ猫の格好をするのって・・・ もしかして、仲間と見せかけないと襲われる?」
思わず、手にはめていた手の部分が猫の前足の形をしている子猫の手袋とその身に纏った猫の着ぐるみのような服を見つめ直す クレール。
百歩譲って手袋はいいとしても、しっぽつきの服だけはすぐ脱ごうと思っていたクレールも思わず 考え込んだ。
「攻撃力も防御力も相当なものだわ。だから・・・だから・・で、でも・・・」
笑い物になるのを覚悟して、攻撃力と防御力を重視し猫の姿に身をやつすか・・それをあきらめ、今まで通りの アイテムで清楚な巫女姿に戻るか・・・しばらくそこで立ちつくしてクレールは考え込んでいた。

「あ!でも・・街に入る時に着替えれば・・・そうよ、そうだわ!ここは魔物しかいないんですもの。彼らから見れば おかしいなんて事ないはずよ!」

それからしばらくの間、胎内エリアでは、その結論に達し、全てを割り切った猫クレールの走り回る姿と白猫の泣き声が 響きわたっていた。


no7

マタタビの杖で攻撃中の猫クレール
[寄贈:異次元箱さん (ありがとうございました)]


「行くわよー!キャッツ・アターーーック!」
『みぃやぁごぉ〜〜!』


       ∧∧    ∫       ∧∧    ∫
     =(^ ^ =⌒ )END =(^ ^ =⌒ )

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