* ダイナソア・ピンポイントストーリー *
--プレイ雑記風ショートショート・・・--
● ザムハンの宿の夜は更けて・・・ ● - ヒルダからヒースへ『罠の技』 - |
「ねえ坊や、あんた確か手先が器用だったよね。あたしに弟子入りする気はない?手取り足取り丁寧に、盗人のノウハウを教えてやるよ。」 「い、いいですよ。ぼく、ドジだし・・・。」 食事を終え、テーブルについたまま、その日のことや翌日の事を考えていたヒースは、不意に自分をのぞき込んだヒルダに驚いて、反射的に返事をしていた。 「誰でもドジ踏むときは踏むんだよ。だ〜〜いじょうぶ、あたしが保証するからさ。坊やはとっても腕っききの盗賊になれるよ♪」 「ぼ、ぼく、盗賊になる気は・・」 「吟遊詩人だろ?分かってるよ、あたしだってそのくらい。だけどさ、今ドジって言っただろ?」 「あ、はい・・。」 「ドジ踏んで捕まったときなんか役に立つよ。」 「ぼく、捕まるような悪いことは・・」 ちっちっち♪と、ヒルダはクビを振る。 「誤解ということもあるしね、ともかく、なんでも身に付けておいて損はないんだ。備えあれば憂いなしってね?」 「で、でも・・・ぼく、今それでなくてもあれこれ修行することばかりで・・・」 ヒースはあくまでその気はないらしい。 「そうかい?残念だね。かわいい子分ができるかと思ったのに。」 その翌日、魔物との戦闘後、宝箱を見つけたヒルダは、ヒースを呼んで言った。 「いたたたた・・指突いちゃったみたいなんだよ。・・・あたしの次に起用だと見込んで頼みがあるんだけどさ、ぼうや?」 「で、でもぼく、上手くできませんよ。もし失敗したら・・・。」 無事開けられればいいのだが、トラップが発動してしまったら、そして、そのトラップが致命的に酷いものだったら、と思うとヒースは恐かった。 「大丈夫、あたしの言うとおりにすれば、ね?」 「他の人に頼んでくださいよ。」 「だめだよ。この宝箱には、すごいトラップがしかけてあるとあたしはみてるんだ。」 「え?じゃ、ますますぼくなんかじゃ・・・」 「だから坊やの器用さにかけるんだよ。だ〜い丈夫!あたしの言うとおりにやれば成功するからさ。」 「おい、早く中身確認して先へ行こうぜ。」 「ち、ちょっと待っておくれよ!」 ランディーにそう答えてから、ヒースをもう一度見つめるヒルダの笑顔は最高の笑顔。目が喜びと期待で輝いている。 「ね、早くしないとまたあのこわ〜〜い兄さん方がうるさいからさ?」 「じ、じゃー・・・・・」 しぶしぶヒルダの指示に従い、ヒースはカギ開けに取りかかった。 (すごいトラップとはどんなのだろう?) ヒースは心臓が止まりそうなほど緊張しながら作業を続けた。 そして・・ 「やったっ!やれるじゃないか、ヒース!」 ばん!と勢い良く背中を叩くヒルダにほっとした笑顔をヒースは見せた。 「トラップも発動しなかったし、やっぱりあたしの目は確かだったよ。」 「ヒルダさんのアドバイスがいいから。」 「ううん、やっぱりぼうやの腕がいいんだよ。」 緊張感のあとの達成感でヒースの瞳は輝いていた。 ヒルダの狙い目通り、師弟関係(親分子分の絆?)はこうしてめでたく締結された。 (アッシュとランディーの側になんかおいておけれるかってんだ。ヒースのようなかわいい子、やっぱりあたしとが一番似合ってるんだよね?) 後世・・・吟遊詩人に盗賊のスキルが付属されたのは、これ以降だとか?(謎 |