* ダイナソア・ピンポイントストーリー *
--プレイ雑記風ショートショート・・・--

 ザムハンの宿の夜は更けて・・・ 
- ヒルダからヒースへ『罠の技』 -
  「ねえ坊や、あんた確か手先が器用だったよね。あたしに弟子入りする気はない?手取り足取り丁寧に、盗人のノウハウを教えてやるよ。」
「い、いいですよ。ぼく、ドジだし・・・。」
食事を終え、テーブルについたまま、その日のことや翌日の事を考えていたヒースは、不意に自分をのぞき込んだヒルダに驚いて、反射的に返事をしていた。
「誰でもドジ踏むときは踏むんだよ。だ〜〜いじょうぶ、あたしが保証するからさ。坊やはとっても腕っききの盗賊になれるよ♪」
「ぼ、ぼく、盗賊になる気は・・」
「吟遊詩人だろ?分かってるよ、あたしだってそのくらい。だけどさ、今ドジって言っただろ?」
「あ、はい・・。」
「ドジ踏んで捕まったときなんか役に立つよ。」
「ぼく、捕まるような悪いことは・・」
ちっちっち♪と、ヒルダはクビを振る。
「誤解ということもあるしね、ともかく、なんでも身に付けておいて損はないんだ。備えあれば憂いなしってね?」
「で、でも・・・ぼく、今それでなくてもあれこれ修行することばかりで・・・」
ヒースはあくまでその気はないらしい。
「そうかい?残念だね。かわいい子分ができるかと思ったのに。」

その翌日、魔物との戦闘後、宝箱を見つけたヒルダは、ヒースを呼んで言った。
「いたたたた・・指突いちゃったみたいなんだよ。・・・あたしの次に起用だと見込んで頼みがあるんだけどさ、ぼうや?」
「で、でもぼく、上手くできませんよ。もし失敗したら・・・。」
無事開けられればいいのだが、トラップが発動してしまったら、そして、そのトラップが致命的に酷いものだったら、と思うとヒースは恐かった。
「大丈夫、あたしの言うとおりにすれば、ね?」
「他の人に頼んでくださいよ。」
「だめだよ。この宝箱には、すごいトラップがしかけてあるとあたしはみてるんだ。」
「え?じゃ、ますますぼくなんかじゃ・・・」
「だから坊やの器用さにかけるんだよ。だ〜い丈夫!あたしの言うとおりにやれば成功するからさ。」
「おい、早く中身確認して先へ行こうぜ。」
「ち、ちょっと待っておくれよ!」
ランディーにそう答えてから、ヒースをもう一度見つめるヒルダの笑顔は最高の笑顔。目が喜びと期待で輝いている。
「ね、早くしないとまたあのこわ〜〜い兄さん方がうるさいからさ?」
「じ、じゃー・・・・・」
しぶしぶヒルダの指示に従い、ヒースはカギ開けに取りかかった。
(すごいトラップとはどんなのだろう?)
ヒースは心臓が止まりそうなほど緊張しながら作業を続けた。

そして・・

「やったっ!やれるじゃないか、ヒース!」
ばん!と勢い良く背中を叩くヒルダにほっとした笑顔をヒースは見せた。
「トラップも発動しなかったし、やっぱりあたしの目は確かだったよ。」
「ヒルダさんのアドバイスがいいから。」
「ううん、やっぱりぼうやの腕がいいんだよ。」
緊張感のあとの達成感でヒースの瞳は輝いていた。

ヒルダの狙い目通り、師弟関係(親分子分の絆?)はこうしてめでたく締結された。
(アッシュとランディーの側になんかおいておけれるかってんだ。ヒースのようなかわいい子、やっぱりあたしとが一番似合ってるんだよね?)


後世・・・吟遊詩人に盗賊のスキルが付属されたのは、これ以降だとか?(謎





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