* ダイナソア・ピンポイントストーリー *
--プレイ雑記風ショートショート・・・--

 ザムハンの宿の夜は更けて・・・ 
- アッシュからヒースへ『剣の技』 -
  「アッシュさん、お願いがあるんです。僕に剣の技を教えてくれませんか?僕・・・少しでも強くなりたいんです。みんなの足手まといにならないように。」
宿、夕食をすませた後、アッシュ達はいつものようにそのテーブルを囲んだままくつろいでいた。
エリスとオルリックは何やら魔法について話し合っており、ワッツは、一人ワインを傾げていた。

窓から見える月をじっと見つめていたアッシュに、ヒースが緊張した面もちと、そしてその緊張からか少し震える声で言った。止めていたものを一気に吐き出したように。

「足手まといにならないように、は、いいが・・・剣が使えるのか?」
「あ・・・・・」
吟遊詩人のヒース。まだ年若い少年ということもあり、そして、その身体はとてもではないが戦士とは言い難かった。
「で、でも、僕、頑張りますから!」
じっとヒースを見てそれ以上何も言わないアッシュ。
「お願いします、アッシュさん。や、やってみなくちゃわからないでしょう?!」
そのアッシュに、多少たじろぎながらもヒースは叫んだ。
「お願いです、アッシュ、私からも頼みます。」
エリスがアッシュに懇願する。
「それに、ヒースはとっても吸収力が早いんです。きっと剣も上達が早いと思います。」
「そうだな・・・だが、術と違って、確かに剣の上達は勝手が違うからな、魔法系と比べたら上達速度は遅いかもしれんが・・どうだ、アッシュ、ここまで真剣に言ってるんだ。教えてやっちゃ?使い物になるかならないかは、様子をみてからでもいいのではないかな?」
全員の注目がアッシュに注がれていた。
「精神力がきれたときの事を懸念してのことなのだろう。思慮深いヒースらしいじゃないか?な、アッシュ?」
「・・・そうだな・・・。」
短く答えたが、動きそうもない。
「そ、そうですよね。ごめんなさい。疲れてるのに・・・。」
しおんとして引き下がろうとしたヒースの肩をオルリックが元気づけるように叩く。
「オレも拳の技も教えてやろうかと思ったのだが・・・・この手は吟遊詩人の手だからな・・・指が太くなって楽器が弾けなくなってもいけないしな。」
ヒースの手を自分の手にとって広げさせながら、オルリックは、はははっと笑った。それは決してバカにしたのではなく、今は無理でも、この先神の歌を奏でるようになるだろうヒースのその手を大切にしてのことだと全員わかっていた。

「確か僧魔法もだいぶ上達していたな?」
「あ!はいっ!」
「少しでも手に傷を負ったらすぐ治すんだぞ。」
「はいっ!」

オルリックたちの暖かい視線に見守られ、ヒースは先に出ていったアッシュの後を、嬉しそうに追っていった。
  







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