* ダイナソア・ピンポイントストーリー *
--プレイ雑記風ショートショート・・・--
● ザムハンの宿の夜は更けて・・・ ● - アッシュからヒースへ『剣の技』 - |
「アッシュさん、お願いがあるんです。僕に剣の技を教えてくれませんか?僕・・・少しでも強くなりたいんです。みんなの足手まといにならないように。」 宿、夕食をすませた後、アッシュ達はいつものようにそのテーブルを囲んだままくつろいでいた。 エリスとオルリックは何やら魔法について話し合っており、ワッツは、一人ワインを傾げていた。 窓から見える月をじっと見つめていたアッシュに、ヒースが緊張した面もちと、そしてその緊張からか少し震える声で言った。止めていたものを一気に吐き出したように。 「足手まといにならないように、は、いいが・・・剣が使えるのか?」 「あ・・・・・」 吟遊詩人のヒース。まだ年若い少年ということもあり、そして、その身体はとてもではないが戦士とは言い難かった。 「で、でも、僕、頑張りますから!」 じっとヒースを見てそれ以上何も言わないアッシュ。 「お願いします、アッシュさん。や、やってみなくちゃわからないでしょう?!」 そのアッシュに、多少たじろぎながらもヒースは叫んだ。 「お願いです、アッシュ、私からも頼みます。」 エリスがアッシュに懇願する。 「それに、ヒースはとっても吸収力が早いんです。きっと剣も上達が早いと思います。」 「そうだな・・・だが、術と違って、確かに剣の上達は勝手が違うからな、魔法系と比べたら上達速度は遅いかもしれんが・・どうだ、アッシュ、ここまで真剣に言ってるんだ。教えてやっちゃ?使い物になるかならないかは、様子をみてからでもいいのではないかな?」 全員の注目がアッシュに注がれていた。 「精神力がきれたときの事を懸念してのことなのだろう。思慮深いヒースらしいじゃないか?な、アッシュ?」 「・・・そうだな・・・。」 短く答えたが、動きそうもない。 「そ、そうですよね。ごめんなさい。疲れてるのに・・・。」 しおんとして引き下がろうとしたヒースの肩をオルリックが元気づけるように叩く。 「オレも拳の技も教えてやろうかと思ったのだが・・・・この手は吟遊詩人の手だからな・・・指が太くなって楽器が弾けなくなってもいけないしな。」 ヒースの手を自分の手にとって広げさせながら、オルリックは、はははっと笑った。それは決してバカにしたのではなく、今は無理でも、この先神の歌を奏でるようになるだろうヒースのその手を大切にしてのことだと全員わかっていた。 「確か僧魔法もだいぶ上達していたな?」 「あ!はいっ!」 「少しでも手に傷を負ったらすぐ治すんだぞ。」 「はいっ!」 オルリックたちの暖かい視線に見守られ、ヒースは先に出ていったアッシュの後を、嬉しそうに追っていった。 |