* ダイナソア・ピンポイントストーリー *
--プレイ雑記風ショートショート・・・--
● ザムハンの宿の夜は更けて・・・ ● - ルオンからアッシュへ『僧魔法』 - |
「・・・ふむ、アッシュ、近頃のあなたは、膂力に頼った殺戮にそろそろ飽いておられるご様子。気晴らしに新たな技でも学びたいという所ですかな?」 ザムハンの宿で夕食をとった後、その食堂から他のメンバーが立ち去ると、ルオンがおもむろにアッシュに話しかけた。 意味深な笑みを浮かべるルオンの目。その瞳の中には怪しげな光があった。 それは、確かにダリウスの塔で出会った魔導師ダリウスの瞳と同じ輝きだった。 (つまり、それは・・・) その時にした盟約。共に同じ神を拝し、その為に協力をするという誓い、それがまぎれもなく現実であり、ダリウスが倒れた後もルオンとの誓いとなって有効であることを示していた。 「気晴らしか・・何を教えてくれるというのだ?」 その途端、ルオンの表情は失望したそれとなった。 「・・・この程度の血で満足したとおっしゃるのですか?少々、あなたのことを買い被っていたようですな。」 −ガタン!− ルオンのその言葉を聞くと同時に、アッシュは荒々しく立ち上がり、即座に腰の剣を抜いた。 「ひっ・・・」 −キラッ!− ルオンの喉元には、テスタロッサの鋭い切っ先が突きつけられていた。 (足らぬと言うのならお前のその血を加えてやろうか?) アッシュの目はそう言っていた。そこには冗談でも嘘でもない冷たい輝きがあった。 ひんやりとした空気が流れる。緊張感と恐怖に包まれた沈黙がルオンを支配する。 「くくく・・・さすがは死神アッシュ。」 その沈黙を破るかのように、ルオンが乾いた声を絞り出す。彼の全神経は喉元の切っ先に集中したまま。 「・・こ、こうでなければ、我らの求めるものも、その望みはさらなる流血。我が神のためにも、あなたには新しき力を覚えて頂かねば。」 「我が神?我らではなく?」 「う"・・あ、いや・・我が神とは、当然同じ志を持つアッシュ殿の神でもあり・・・ひっ・・」 切っ先がルオンの喉に少しだが触れた。 そして次の瞬間、その切っ先は、そこから姿を消した。 −キン!− 「はーはーはー・・・・・」 (臨戦態勢ならこのような醜態をさらすこともなかったであろうに・・・) ごくん!と大きく唾液を飲み込み、ルオンは忌々しげに、剣を収めた横のアッシュを上目遣いで見ていた。 「まー、いい・・お前がどう考えていようが、オレには関係ない。・・・で?教えてもらおうじゃないか、その新しき力とやらを?」 そして、ともすれば自分の命が危ないという危機感を覚えながら、ルオンはその夜、アッシュに僧魔法の伝授を行った。 それは、死神にふさわしき僧魔法。奇跡の源は、神聖なる慈愛の神の息では・・・決してなかった・・・。 |
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