* ダイナソア・ピンポイントストーリー *
--プレイ雑記風ショートショート・・・--
● ザムハンの宿の夜は更けて・・・ ● - ヒルダからアッシュへ『弓』 - |
「アッシュ、あんたは確かに剣の腕は一流だ。でもさ、弓の小技は使えないだろ?弓は力任せに引きゃいいってもんじゃないんだよ。あんたには世話になってるからね。特別にコツを教えてやってもいいよ。」 「ふん、そうかい。知って損になるもんでもないと思うけど。」 断るのも悪いと思ったのか、はたまた、いつものだんまりか?何も言わないアッシュに、ヒルダはそう判断して引き下がった。 しつこいのは好きじゃない。それに、弓など使わなくてもアッシュの剣で十分だということは、ヒルダも重々承知しているからだ。 ただ・・そう、ただ、アッシュと2人きりの時間を持ちたかった。 宿の裏庭にいるアッシュを見つけたとたん、思わず駆け寄ってしまっていた。 そう、たとえ無駄だと分かっていても、2人でいる理由がほしかった。いるだけでいいから。でないと、アッシュはすぐいなくなってしまう。 「あたしもまだまだだね。これじゃランディーと一緒じゃないか?」 ヒルダは悲しげに笑う。 「ちょっと待っておくれよ。違うよ!弓なんて言うからいけないんだ。ランディーなら・・そうさね・・こっちの話なら♪」 技の伝授にかこつけようと思ったことがいけないんだ、と思ったヒルダは考えを変えた。 「アッシュ!」 邪魔が入るかもしれないけど、2人きりにはなれないけど、でも、一緒にいられる、とヒルダは宿に入ろうとしていたアッシュを追いかけた。 「アッシュ!たまにはあたしにつきあっておくれよ!」 ウインクして呑むジェスチャーをするヒルダ。 「そうだな・・。」 まだ時間は早かった。意外とも思えたが、アッシュは気軽につきあってくれた。 (こんな簡単に誘いに乗ってくるんなら、もっと早く誘えばよかった。) その夜、宿の酒場のカウンター席、アッシュの横に座ったヒルダは、上機嫌だった。 ただ・・それ以上の展開はまるっきりなかった。 (アッシュの朴念仁!!!) |