* ダイナソア・ピンポイントストーリー *
--プレイ雑記風ショートショート・・・--

 ザムハンの宿の夜は更けて・・・ 
- ヒルダからアッシュへ『弓』 -
 「アッシュ、あんたは確かに剣の腕は一流だ。でもさ、弓の小技は使えないだろ?弓は力任せに引きゃいいってもんじゃないんだよ。あんたには世話になってるからね。特別にコツを教えてやってもいいよ。」

「ふん、そうかい。知って損になるもんでもないと思うけど。」
断るのも悪いと思ったのか、はたまた、いつものだんまりか?何も言わないアッシュに、ヒルダはそう判断して引き下がった。
しつこいのは好きじゃない。それに、弓など使わなくてもアッシュの剣で十分だということは、ヒルダも重々承知しているからだ。

ただ・・そう、ただ、アッシュと2人きりの時間を持ちたかった。
宿の裏庭にいるアッシュを見つけたとたん、思わず駆け寄ってしまっていた。
そう、たとえ無駄だと分かっていても、2人でいる理由がほしかった。いるだけでいいから。でないと、アッシュはすぐいなくなってしまう。

「あたしもまだまだだね。これじゃランディーと一緒じゃないか?」
ヒルダは悲しげに笑う。
「ちょっと待っておくれよ。違うよ!弓なんて言うからいけないんだ。ランディーなら・・そうさね・・こっちの話なら♪」
技の伝授にかこつけようと思ったことがいけないんだ、と思ったヒルダは考えを変えた。
「アッシュ!」
邪魔が入るかもしれないけど、2人きりにはなれないけど、でも、一緒にいられる、とヒルダは宿に入ろうとしていたアッシュを追いかけた。
「アッシュ!たまにはあたしにつきあっておくれよ!」
ウインクして呑むジェスチャーをするヒルダ。
「そうだな・・。」
まだ時間は早かった。意外とも思えたが、アッシュは気軽につきあってくれた。
(こんな簡単に誘いに乗ってくるんなら、もっと早く誘えばよかった。)

その夜、宿の酒場のカウンター席、アッシュの横に座ったヒルダは、上機嫌だった。

ただ・・それ以上の展開はまるっきりなかった。

(アッシュの朴念仁!!!)







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