* ダイナソア・ピンポイントストーリー *
--プレイ雑記風ショートショート・・・--

 ザムハンの宿の夜は更けて・・・ 
- エリスからヒースへ『魔法』 -
 「ヒース、魔法を覚える気はありませんか?あなたの歌そのものが魔法に近いのです。そのままにしておくなんてもったいないわ。」

「ごめんなさい、エリスさん。僕は、ただ唄うのが好きなんです。それだけでいいんです。」

「そうですか。私こそ差し出がましいことを言いましたね。」
ザムハンの町に戻ったその夜、なかなか寝付かれなかったヒースは、宿の裏庭に出て、月を見ながら、小声で歌を唄っていた。その歌声に誘われエリスもまた庭へと出てきたのだが。

「あ・・・あの・・・」
が、ヒースに断られ、がっくりと肩を落として宿へ入ろうとするエリスの後ろ姿に、ヒースは思わず声をかけていた。
「僕にもできるでしょうか?」
小さな声で呟いたヒース言葉に弾かれたようにエリスはくるっと方向転換した。
「ええ♪もちろんよ!あなたならきっとできるわ、ヒース!」
「あ・・じ、じゃー、よろしくご指導お願いします。」
あまりにも寂しそうなエリスの後ろ姿に、思わずいってしまった言葉だったが、当然、今更撤回はきかない。ヒースは覚悟を決めた。
本当なら他のことを習うより、もっともっと自分の本職である歌を極めたい、それが本心だったのだが。


そしてその夜、基本を教えてもらったヒースは、翌日の戦闘でも魔法でがんばっていた。

「いいわよ、ヒース!やっぱりスジがいいわ。飲み込みも早いし。」
「は、はいっ!」
必死で魔法を唱えるヒースの手にリュートはなかった。
それはエリスがしっかり持っていた。
ともすると歌を唄いがちなヒース。そのヒースに歌ではなく、魔法を使わせる目的だった。

「いいわよ、ヒース!がんばってっ!それがクリアできたら、次の段階の魔法を教えてあげるから。」
「はいっ!」


エリスの訓練は、予想外にスパルタだった。
それだけ期待をかけていたのだろうが・・・相手により、エリス自信が大丈夫だと判断すれば、アッシュやオルリック、ワッツの攻撃も止めてしまい、傍で見守りながらヒースにのみ攻撃させるという徹底さ。
そのおかげか、短時間にヒースの使える術は、またたくまに増えていった。
きがつけば、いつのまにか、歌の曲数より多い。
その上、攻撃魔法は効果絶大である。


(僕っていったい・・・・)
今まで守られてばかりでみそっかすだと思っていた戦闘も、十分一役買っているといえるようになっていた。が・・・やはり吟遊詩人としての力で、役立ちたい、ヒースの思いはつのっていった。

が、エリスのスパルタ教育は続く。魔術にばかり長けていく。





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