* ダイナソア・ピンポイントストーリー *
--プレイ雑記風ショートショート・・・--

 お返しはメンタリング! 
- がんばれ、ヒース! -
 
空中庭園でメンタリングを入手しようと必至になっての探索もままならず、出会っても白猿は落としていってくれない。
いい加減に諦め、他の探索を進めたアッシュ達一行は、風の塔へと足を踏み入れていた。

そして、3階の片隅にあった1室。そこに項垂れた男の霊がいた。
男はアッシュ達を見ると一瞬その瞳に期待の輝きを浮かべたが、全員をさっと見渡した次の瞬間、再び悲しげな表情に戻り、項垂れた。

「あ、あの・・・・」
敵ではないようだった。攻撃してくる気配はない。そのあまりにものもの悲しげな風情に、ヒースは思わず声をかける。
そのヒースの声に、ゆっくりと顔を上げた男は、悲しそうに下を指さした。
『風を・・・汚れ無き風を・・』
「風?」
なんのことかわからず、ヒースは聞き直す。
と・・
「おい!その指輪は?!」
ランディーが男の指に填っていた指輪に目を輝かす。それは確かにメンタリング。
「なんだかわからねーが、風でも息でも吹き込んでやるから、お礼にそれくれねーか?」
つかつかっと男に近づくランディー。
が、男は思いもかけない素早さでさっと指輪の填った手を後ろに隠した。
「ちぇっ!いいだろ?どうせあんたはもう死んでんだから?」
「ランディーさん!何も死者の上前はねるなんて!」
めずらしくヒースの声に怒りが入っていた。
「だけどだな、使ってこそなんだぜ、アイテムってのは?死者の指にあるよりオレの指にあるべきだと思わねーか?」
「で、でも・・・」
「そうだ!ルオン!あんた死者は自分の味方だとか言ってたよな?この男に命じて、指輪をもらっちゃくれねーか?」
「残念ながらこの男はこの塔に取り込まれているようですので私には無理です。それに、あなたに差し上げる為に、なぜ私がわざわざ労を払わなければならないのです?」
「ちっ!役にたたねー奴だな。」
「指輪がなければすぐ精神力が切れるというあなたの方が役立たずと言えるんじゃないですかな、魔法使い?」
「んだと?」
しれっとした顔で話すルオンの顔面に、ランディーが怒りの形相で佇んだ。

「あ、あの・・ランディーさんも、ルオンさんも・・・」
「いかげんにおしよ!あんたたち!」
2人の間に慌てて入るヒースとヒルダ。
と、その時・・・

『メンタリングか・・・いいぢゃろう・・・土笛を上手に吹いてくれたお礼ぢゃ。とっておきの情報を教えてやろう。』
「え?とっておきの情報?」
何者かの声がヒースの頭の中に響き、ヒースは思わず声を出して聞き返していた。当然のごとく全員、どうしたのだ、と彼を見つめる。
『その男から指輪をもらいたければ、レクイエムを聞かせてやるがいい。』
「レ、レクイエムですか?」
ヒース以外の者にはその声は聞こえなかった。が、どうやらヒースが重要な事を誰かに聞いているのだと判断し、彼らはじっとヒースを見守る。
『そうぢゃ。単なる口からの歌じゃだめぢゃぞ。吟遊詩人の歌でなければの〜。』
「吟遊詩人の・・歌・・・・つまりそれは魂を癒す効果を持った・・」
旋律は知っていた。が、そこにその力を宿らせることは、まだヒースはできなかった。
『お前の歌で、その男の魂を救うんぢゃ。そのお礼にお前たちが欲しがっておるそのメンタリングをくれるはずぢゃ。』
「魂を救えばメンタリングを?」


「な、だんだって?メンタリングを?ヒース?なんだってんだい?」
ヒルダが勢いよくヒースに声をかけた。
「あ、あのですね・・・」
それ以上老人は何も答えなかった。
そして、老人の言葉を話したヒースに、全員の期待の光が注がれる。


「ヒース、こんなしけった塔の中じゃ、気分もさえないだろ?外でやろうぜ。」
「え?」
「だけどまたここまで上がってくるのかい?」
「うーーん、そういや、面倒だな。じゃーねーか・・ここで・・そうだ!少しでも気分がいいように、窓辺なんかいいんじゃないか?」


そして、ヒースの歌の練習が始まった。そう、魔法と僧魔法ばかり使っていた為、歌の力はまだまだだったのである。


「ああ、ここがモンスターの住処じゃなきゃーねー・・・。」
ヒースの声は優しく響く。そこがモンスターの住処ということでさえ忘れるほど。が、そこは強力な魔物の住処でもあった。
必至でヒースが練習している周囲に立ち、アッシュたちはレクイエムの完成を待ち続けた。魔物と闘いながら。


がんばれ、ヒース!歌を忘れたカナリアが、ようやく本来の鳥に戻れたんだ!メンタリングは君の肩(歌)にかかってるっ!(1個だけだが)



ヒースがレクイエムの歌を修得していてそこで唄ってあげれば、メンタリングをお礼としてもらえます。(表も裏も)
(だから、その霊と会うときにヒースが死亡していてはだめですよー。)
(地下牢の老人の話などメイキング部分ももちろんあります。彼からの話しかけもセリフもゲーム上ではありません。)

それから、レクイエムを修得していてもいなくても、ここでヒースと霊との会話がなければ、
地下祭室での蒼い炎のイベントは、進行しません。(裏の場合)
省かないで男の霊の部屋には立ち寄ってくださいね。




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