「てめー、オレ様一人に戦わせやがって・・・それでも戦士か?」
「ん?あんたは世界一の魔導師なんだろ?そのくらいの相手はオレの手などいらないんじゃないか?」
「・・・・・」
(それに今は修行が必要なんだろ?)
アッシュの視線は明らかにそう言っているようだった。
(おぼえてろ!くそ剣士っ!今にほえづらかくなよ?!)
森の中、冒険に必要な魔法、『空間感知』と『空間転移』の魔法を身につけようと一人奮闘するランディーの姿があった。
その傍に、適当な切り株に座った屈強な剣士が一人。
一応ピンチの時はいつでも攻撃できるようにと腰の剣に手をかけつつ見守っていた。
初老の僧侶が一人増え、ランディーたちは、ニーラ神殿へと下りていた。
「いつまで寝てる気なんきだよ、アッシュのだんな?! え?」
ここへ来て、敵も強くなってきたこともあり、さすがに座って見てはいなかったのだが・・・・今度は敵であるバンパイアバットの術に落ちてしまったのである。
(ったくっ・・・簡単にバンパイアバッドに眠らせられちまいやがって、それでホントに灰をまくものの異名をもつ戦士か?・・・・オンのくそ坊主は坊主で・・戦闘に入ると傷などなくても自分に回復魔法かけてやがるし・・・・ったく・・)
「おいっ!だんな!いい加減に起きろってんだ・・まったく!!こいつら飛び回っててうざいんだよ!」
氷の剣で孤軍奮闘。
安らかな寝息を立てて眠り続ける眠り姫・・ならいいが、ごつい身体の戦士・・・と・・・一人ぶつぶつ呪文を唱え、自分自身に回復魔法をかけている僧侶。
ランディーの堪忍袋の緒は切れかかっていた。
「くそ坊主!何のために仲間になったんだよ!しかも無理矢理合流しやがったくせに!それならそれで、旦那の目を覚まさせるか、オレに回復魔法をかけやがれ!!」
鋭い牙と爪で攻撃してくる巨大コウモリと闘いながら、ランディーは叫んでいた。
「やいっ!くそ坊主っ!」
「まー、がんばるのですな、魔法使い。あなたも早く力をつけたいでしょう?私にバカにされないためにも?なに、このくらいの敵になど殺られはしないでしょう。なんといってもあなたは世界一の魔導師らしいですからね?」
「ぐ・・・・・・」
女を口説くことにかけては誰にも負けない自信はあった。が・・・毒舌の類は、とてもではないがルオンには叶いそうもなかった。
「くっそ〜〜〜!!!!!」
一人で倒して当たり前、ルオンから小馬鹿にされているような視線を感じつつ、ランディーは魔弾を放ち続けていた。
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