**Brandish3リプレイ創作ストーリー**



その21 奈落の乱舞

 

 「いったいどれだけ壊していったらいいのよっ?!」
ドーラは罵声を吐きながら、それでも、大金槌を振り上げ、壁を崩し続けていた。
そこは、試練の間のある城B3Fから落ちた奈落?、最初こそは、そこへ落ちると、すぐに、魔法陣で戻ったドーラだが、ふと目にしたヒビの入った壁を見つけてから、それは始まった。
途中、イリュージョンの壁などもあり、いかにも怪しげである。これは放っておくべきではない。
やっきになって挑戦していた試練を先延ばしにし、ドーラは、とことん破壊しまくって(おい!)その先に何があるのか確認することにした。
    

「・・・にしても・・・・・・疲れたわ・・・・もう金槌を振り上げる元気もないわよ。」
それでももう一回、と気張って壁を崩したその先に通路が見え、ドーラの目は輝く。
が、その通路は2,3歩歩くと、鉄格子のはまった扉でそれ以上の進行を遮られていた。
「ふん!このくらい、金槌で壊すより楽よ。」
針金を取り出すと、カチャカチャと慣れた(/^^;)手で、難なくあける。
「きゃあっ!」
その途端、扉の向こうから何かが勢いよく飛んできた。それは、ドーラのすぐ横を風のように素通りしていく。
「な、なんなの?なんだったの、今の?」
ドーラが今来た道は、当然行き止まり。また帰ってくるのか?としばしドーラは待った。
と・・・・
「え?・・・・・回復ポーション・・・・の小瓶?」
前方から飛んでくるのは、確かに回復ポーションの瓶。
「えい!」
ドーラは、真っ直ぐ飛んでくるそれを杖でたたき落とす。
「・・・・・普通のポーションとどっこも違ってないわよねーえ?」
しげしげとそれを手にとって見るのだが、単なる瓶としか見えない。
「飛翔魔法でもかかってるのかしら?」
そんなことを考えつつ、ちゃっかり中の液を、持っていた瓶に移し替えるドーラ。

そして、それが間違いなく魔法か何かで動いていたのだ、と確信する出来事がその先にあった。
鉄格子の扉に区切られた一角に1つ、そういったアイテムが浮遊しているのである。そして、ドアが開くと、喜々として(いや、表情はないが)猛ダッシュというか、飛ぶのである。
が、そこはもう慣れたドーラ。ビシバシとたたき落とし、にんまりと入手する。

そうして、その先は・・・苦労して壁を崩して進んだ甲斐があり、そこは宝物庫、宝の山。
が、普通の宝物庫ではなかった。大きな宝箱に遮られ、その、向こうにやはり目には見えてるのに手が届かない宝箱。適度な大きさの物は、跳び箱よろしく、軽く?飛び越えて、お宝をせしめたが、突き出た壁の向こうに見える宝箱には手が届かない。
だが、こういったこともそれまでの迷宮探索で慣れたものである。
どこかに道はあるはずだ、と丹念に探す。
結果、イリュージョンの壁を突き抜けた先の魔法陣から飛んでいけたり、一旦その宝物庫から出て、そこまでの壁を調べたりして、一見、そこまで行けないと思われたところまでも、ドーラは確実に道を見つけて、その先にあった宝を入手した。


「まずますの収穫ってとこね。これといったスペシャルアイテム類はなかったけど。」
一面魔法陣のエリアは少し苦労したが、根気よく取り組めば、クリアできた。
部屋中アイテムが飛びかっているなんていう信じられない部屋もあった。
小さなアイテムでも、全力飛翔してくるとバカにはできない。当たると結構痛いので、ドーラはちゃっかり戸口に断って、風精を召還して倒させ、軽々とそれらを手にした。
もちろん、そこで手にしたもので、もう次元箱もまんたん。どうしようか?と思っていたところに、闇屋の住処を発見。もちろんそんなところにいる闇屋は魔族である。
いらないアイテムはそこで売り、ほくほく顔で、ドーラはその階を後にした。


そして、再び試練に挑戦。
そうして、全てクリアすると、ドーラはようやく上への階段を上り、ゾールを見つけた玉座の間へと向かった。


が・・・・・

「な、何よ、これ?直通の階段からのドアって、カギかかかってて開かないじゃないの?!ここからは、もう行けないわけ?・・・・でも、正面の扉は開かなかったんだけど・・・・」

そのまま続けて階段を上ればすぐ1Fだったのを、わざわざ地下2階からの階段を上ってきたというのに・・・回り道になっちゃったじゃない!と、ぶつぶつ文句を言いつつ、ドーラは、玉座の間への正規の廊下を、襲いかかってくる魔物や兵士たちを倒しつつ、疾走していた。


(にしても、ホントにこの城の作りってなに?玉座の間に行くだけでも、トラップがあちこちじゃない!ゾールが改造したのかしら?)
そう思うとますますゾールに対して怒りがわき上がってくる。
(やっぱり百倍じゃ足らない!使い魔にしてこき使ってやらなきゃ!!)
果たしてゾールがそう簡単に使い魔になどなるかどうか、は、さておき、ともかく、ドーラは、ゾールを目指し疾走した。

「今回は前のように飛ばされるようなへまはしないから。覚悟しなさいよ、ゾール。・・・・・でも、アレスっていったいどこで何道草くってんのかしら?・・・・・はっ!まさか、アレスの方が先になんてことないでしょうね?」

疾走しつつ、ドーラの思考は、めまぐるしく回転していた。




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