Brandish4ストーリー・ガラハッド謎の探求に神の塔を行く!

◆■第六話・水難の相?■◆
  
    
      
    

 「そ、そんな泥棒行為、小生にはできません!」
「あ〜ら♪考古学者なんて墓を暴くのが仕事でしょ?なら似たり寄ったりじゃない?」
「い・い・え!断じて違いますぞ!考古学は古の謎を解き明かし、事実を探求するという高尚な学問ですぞ!」
「そう?・・・まー、いいわ、他の人に頼むから。あ、そうそう、センセ、水難の相が出てるから気を付けるのね?」
−バタン!−
(なーにが水難の相ですか?まるで厄災を払ってやるから、頼み事を引き受けろとでもいうような視線で・・・まったく・・・・泥棒行為など、小生ができるとでも・・・)
ぶつぶつと呟きながらガラハッドは遺跡12Fにあった店、ウバタマ商会から出てきたのだった。


そして、探索続行。・・・そうしてまもなくウバタマ商会の女店主アグリアの言った言葉をガラハッドは身にしみて感じることとなる。


 「ち、ちょっと待ってくださいよーー・・・仕方ないでしょぉ?お腹が空いてれば、誰しもそのくらいのこと考えてしまいますよぉ〜・・・」
バシュバシュン!と水の攻撃を受けながら、ガラハッドは穴を避けつつ逃げ回っていた。
そこは遺跡12F。11Fと12Fを行ったり来たり(しかも穴に落ちて)してようやく開けることができた広い空間でのことだった。
石像にされていた水の精霊に11Fで手に入れた天露の小瓶に入っていた液体をかけたまでは良かった。
だが、元の姿になった水の精霊、ラクシーは、小魚を食べようとしたな?と、ガラハッドの言い訳も聞かず、攻撃を開始したのである。

「そうは思っても、食べませんでしたよー・・・そのことも知ってるでしょぉ?・・・その小魚さんが天に召される前、あなたのところに寄ってこの事を報告したのなら、全部話して行ったでしょー?」
破壊光線ならぬ、破壊水線、レーザー同様の破壊力と思われるその水鉄砲(違うぞ!)と行動のみならず息をとめてしまう水泡での攻撃を避けながら、ガラハッドは必死になって許しを請う。
『知らぬ。引き潮の流れが速く、何かまだ言っておるようだったが、最後まで聞けなかった。』
「そ、それがそうですよーー!!あなたがあの小魚から聞いた話、『親切な人に会った。ぼくを食べたいと思ってたみたい・・だけど・・・』の後があるんですよーー!小生は、水のある場所へ運んであげようと思ったんですよー・・う、嘘じゃないです、誓って!!」
『そのような話、我は信じぬ!』
「信じてくださいよーー!お願いですから。・・だ、だいいち、誰が言葉を話す魚を食べるというんですかあ?食べられませんよーー。それに、小生が食べたのなら、最初に親切な、なんて言わないでしょお?」
それもそうだ、とふとラクシーは思った。が、一旦こうと決めたことは今更覆すわけにはいかない。(おいおい!
しつこく攻撃を続けるラクシー、逃げまどうガラハッド。その光景は暫く続いた。

「おーい、おっさん、何やってんだ?水の精霊と追いかけっこかあ?」
そこへ登場したのは、ディーである。(ゲーム内ではこの出会いはありません
「まったく世話が焼けるおっさんだな?」
ヒュオン!とディーは攻撃をし続けているラクシーにムチを飛ばす。
「あっ!いけません!ディーさん!」
その途端、ビシッときつい音が周囲に木霊した。
「う・・・」
ガラハッドの二の腕の筋肉がディーの放ったムチで裂かれ、ツーっと真っ赤な血がしたたり落ちる。
「おっさん、何やってんだよ?」
あ〜あ、というため息のディー。そして、ラクシーは攻撃を止め、そのガラハッドをまじまじと見つめた。
『我を庇うたのか?』
「あ、あはははは・・・・そういうつもりはなかったんですが、つい・・その・・・・やはり美人がムチで叩かれようなことは、紳士としては放っておけないと申しましょうか?」
ガラハッドは頭をかきかき、照れ笑い。
「誰が紳士だって?」
いかにもおかしいと言うようにディーは声をたてて笑った。
『しかし、これとあれとは別問題』
「失敬ですぞ、ディーくん」と言おうとしたガラハッドは、ラクシーの言葉にその機会を失ってぎょっとする。
「ひぇ?そ、そんなー・・・」
攻撃の構えをみせたラクシーに、ガラハッドは再び青ざめる。
「おおっと、守ってもらった淑女は淑女らしくしねーといけねーな?次はこっちのムチをお見舞いするぜ?おっさんだとて今回はもうかばうなんて真似しないだろうし?」
ディーの手には、火炎特性の施されたムチがあった。
『先ほどは油断しておったからじゃ。我が負けるとでも思うのか?』
数歩下がり、ラクシーは余裕の笑みをみせ、ガラハッドからディーを攻撃対象として捕らえて立つ。
「ま、待ってください!そうだ!いい方法があります!小生の無実を立証してもらうのです!」
今更貸す耳は持たぬとでもいいたそうなラクシーに、ガラハッドは少し早口になって立て続けに話す。
「この階にある店のウバタマ商会のアグリアさんに、霊界にいる小魚さんの魂とコンタクトをとってもらいましょう。」
「へ?あのねーちゃん、そんなことできんのか?」
「わ、わかりませんが・・・あの妖しさといかにも死界からの波動が彼女を覆っているように感じたんですよ。お頼みすれば、やってくれるかも?」
「かもって・・・おっさん・・そんな根拠ない話・・・それにあいつに頼み事って、見返りにやばいことさせられるぜ?」

『何を2人でひそひそ話しておる?』
「あ、いえ、なんでも・・と、とにかく霊媒師さんを通してですな・・・」
『まー、よい』
「へ?」
『そこまで言うのならお主を信じよう。嘘はつけぬようじゃからの。』
「よ、よかった〜〜〜・・・・」
へたへたとそこへ座り込むガラハッド。
『それにどのみちこの先は・・・』
「へ?この先が・・・何か?」
『いや、何でもない。行くがよい、塔の探索者たちよ。次なるエリアへの入口はあそこじゃ。』
遠くの一点を指さし、彼女はすうっと姿を消した。



「がぼがぼがぼ・・・・(な・・なんで、すうっと通したのか分かった気が・・・)」
エリアの入口、ちょうど氷の張った湖面に穴を空けて釣りをするがごとく、人が一人入れるくらいの穴が地面に空き、水面が顔を見せていた。
おそらく次のエリアまでパイプのような水路を通って行くのだろうと、単純に考えたガラハッドは、深呼吸してさっそく飛び込んだ。

が・・・・・

「ご、ごんな"広い水域だどわ思いま"ぜん"でぢだよーー・・・・・・」
そこは広い水域。加えて到底逆らっては泳げない勢いの水流があった。
ガラハッドは入った穴に浮かび上がることもできず、息もできず、青くなりながらその急流に翻弄され、流されていった。



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