Brandish4ストーリー・ガラハッド謎の探求に神の塔を行く!

◆■第五話・巨体の効能?■◆
  
    
      
    

 「わ。。。わわ〜〜〜・・・・」
−・・・・ドスン!−
「痛ぅ〜〜・・・・・ま、また落っこちてしまいましたねー。」
お尻をさすりながら、穴に落ちたガラハッドは上を見上げていた。
そこは遺跡12F。地面が緩んでいるのか、下の空洞までの地層が薄いのか、あちこちに穴があき、そして、開いてないところも、1歩足を乗せると崩れてしまうといった危険極まりないところだった。
加えて、ベニテングダケというそこを住処としている魔物は、強敵だった。
穴を避け、ベニテングダケの魔弾攻撃を避けつつ進む。地面さえその強度を持っていてくれればそれまでと変わりないのだが、柔らかすぎた。そして、その場所が多すぎた。

「ふ〜〜・・・・まったくこれで何回目なのでしょうか・・・・」
何度となく上下の階を行ったり来たり。
「しかし・・・・落ちないと行けない場所もあったようですな?」
分厚い手帳に地図を描き込みながらガラハッドはブツブツと呟いていた。
地図を描いてみて初めて分かること。それは、壁を挟んだエリアにも空洞が広がっていること。
「まー、数カ所は金槌で崩すことができたものの・・・やっぱり壁に遮られているんですなー。」
上に戻るには、それぞれ小さく区切られたところから転移の魔法陣を利用していた。
「ここに落ちると、この魔法陣から上の階のここへ戻れる・・・っと。いやー・・・・なんかこうカラフルというか・・・しかし、穴が多いですなー。」
そして、同じ穴に落ちないように注意深くその地図を見ながら進むガラハッド。

「おや?これはどうしたものですかな?またしても穴が続いていて向こうの地面まで、飛び越えるのはちょっと無理のようですが?」
ぽりぽりと頭をかきながら思案するガラハッド。

「おお!そうですな!これは・・・たぶん2つ目の穴には落ちないといけないというわけですな?」
しばらく考えていたガラハッドは、勝手にそう思いこむ。他に進む道はない。後退ならできるが、前進するためにはそうしなければ、他に道はない。周囲の壁も崩せそうもない。
「よーーし!そうと決まったら・・・・」
思いっきり地面を蹴ってジャンプするガラハッド。

−グシャ!−
「ん?・・・お、おかしいですな?な、何か下にあったんでしょうか?」
真っ暗な穴が口を開けているはずのそこへジャンプしたガラハッドは、下へ落ちず、何かを踏んだような音とともに確かに何かの上に乗ってそれを押しつぶした感じを受けて、そっと立ち上がる。そう、もっとも衝撃を吸収してくれるお尻からの着地姿勢をガラハッドはとっていたのである。

「う・・・・こ、これは・・・・・」
そして、自分の下敷きになっていた正体に気づいて唖然とする。
そこは穴ではなかった。それはアビスと呼ばれる魔物、忍者のように真っ黒な装束をした闇に属する魔物だった。
「穴に化けていたということですか?・・・あ、いや、化けていたというより、隠れ身の術?」
ガラハッドの巨体で押しつぶされ、はがっ!といった哀れな表情でぺっしゃんこになっている魔物をつまみ上げて、ガラハッドはしげしげと見つめる。
「あ・・あはは・・・・申し訳ない・・・・・小生の下敷きではさぞや重かったでしょうな?・・し、しかし・・・・大丈夫でしょうか?」
相手が敵であり、魔物であることも忘れて、ガラハッドは気の毒そうに苦笑い。
−シュン!−
「おや?」
つまみ上げられているだけだったそのアビスは、気づくと同時に、風のようにガラハッドの手から逃げた。真っ黒い残像を残してそこから大きくジャンプ。

「だ、大丈夫だったんですか?」
あれほど平たくぺしゃんこになっていたのに、気づくと同時に逃げていったそのアビスにガラハッドは心配の声をかける。

「ヒッ!」
が、声をかけられた当のアビスは、びくっと大きく震えてあたふたと逃げていく。
「穴だとばかり思っていたとはいえ・・・悪いことをしてしまいましたなー・・・・すっかり怖がらせてしまいました。」
申し訳なさそうな照れ笑いをすると、ガラハッドは気を取り直してジャンプする。そう、その地点も周囲は穴で囲まれていたからである。

−シュッ!シュ、シュ、シュ!シュオンッ!−
「おや?」
ガラハッドの巨体が、それまで立っていた地点を離れると同時に、周囲一帯に数え切れないほどあった穴と思われる黒い丸が一斉に黒装束の人型となって、風のようにその姿をそこから消した。

−ドスン!−
「あ、あははははは・・・こ、これは・・・・みなさん、お仲間の悲惨さに一斉に逃げてしまわれたんでしょうか?」

どうやってこの穴を飛び越えて先に進もうかと、数え切れないほどあった穴・・・それの多くがアビスだったことに、ガラハッドは唖然とし、そして、苦笑いしつつ、周囲を眺める。


「ヒエ〜〜・・・・」

が、それでもそのエリアは穴が多い。そして、地質の柔らかそうなところも多かった。ガラハッドはアビスがいたところなら大丈夫だろうと判断して、そこを選んで通ったのだが・・・アビスの体重は軽いらしかった。
崩れることはないだろう、と判断したアビスのいた場所は、ガラハッドの体重に耐えきれず、簡単に崩れた。
−ドッスーーン!−
「痛ぅ〜〜〜・・・・・・・」
(こんなことならアビスさんが穴の疑似体を取っていてくれた方がよかったような・・・)

ガラハッドは自分の巨体との差を切実に感じていた。



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