Brandish4ストーリー・ガラハッド謎の探求に神の塔を行く!

◆■第四話・破壊魔人現る?■◆
  
    
      
    

 −ゴロン・・・ゴロン・・・・−
「うわわわわわ〜〜〜〜・・・・・・・・」
魔物の蠢く神の塔・・・・その内部は静寂さを破る不気味な魔物の咆吼と調査隊ら人間の断末魔の叫び。
そして・・・それら一切吹き飛ぶようなガラハッドの叫びがそのエリア一帯にこだましていた。

「ど、どいてくださいっ!道をふさがれては、押しつぶされ・・・わわっ!」
そこは行き止まりの狭いエリア。いや、奥に扉はあるのだが、トラップがしかけられていた。

そう、今ガラハッドの目の前、地中からにゅおん!と飛び出た砂のモンスター、そのエリアにいるそのモンスターを全て倒さなければ、扉は開かないのである。
そして、そのモンスターは、今まさにガラハッドをその背後から押しつぶそうと転がってくる巨大な岩、誰がこんなものを作ったのだろうと思えるほど、完璧に球体として仕上げられた見事なまでの岩の球、その恐ろしいまでの重量で圧迫しなければ、そのモンスターは消滅しないのである。
たとえ、ガラハッドがその拳でたたきつぶそうとしても、なぜかだめなのである。彼らは一瞬にして砂に化して地中に戻るか、鋼鉄のような強度となるのである。
「ど、どいてくださいよ〜・・・どちらかおひとりでいいですから〜〜・・」
目の前の砂のモンスターは、その身を鋼鉄の強度と化してガラハッドの前に立ちふさがっていた。しかもそのモンスターの背後にもう1匹。そして、左右は壁。背後からは大岩のボール。
「わっ!わわ〜〜っ!」
後ろを振り向いたガラハッドの目の前に、巨大なボールがあった。
−ガシュッ!−
「あ・・・・・・・」
−パラパラパラ・・・・−
「ま、またやってしまいましたなー・・・・・。」
思わず拳でその大岩にスペシャルパンチをお見舞いしてしまったガラハッド。
「この岩でないと、砂のモンスターは倒せれないというのに・・・。」
がっくりと肩を落として、ばらばらになった大岩の瓦礫を見つめる。
「こうして岩は破壊できるのに、なぜに砂のモンスターはだめなんでしょうな?」
ぽりぽりと頭をかきつつ、ぐっと握った自分の拳をみつめ、そして視線をモンスターのいた方向に向ける。
「ふう・・・・」
ガラハッドを大岩と挟み撃ちにして押しつぶそうとしていたのかどうかはわからないが、ともかく、そのもくろみが消え失せた今、彼はそこにはもういなかった。


しかたなく、ガラハッドは、隣の壁に囲まれた細い通路に、また砂のモンスター1匹を誘いだし、タイミングを計って大岩のスイッチを踏む。
−ゴロンゴロンゴロン・・・・−
そうしておいて、その進路上におびきよせた砂のモンスターの頭上を飛び越えることによってモンスターだけをつぶそうという計画なのだが・・・前のように2匹並ばれると、ガラハッドに彼らを飛び越えるジャンプ力はない。
彼らもそれを知ってか知らずか・・・最初の頃こそ、その手は功を奏したのだが、徐々に効かなくなってきていた。
モンスターにも仲間意識というものがあるのだろうか?

「あっ!キエンさんっ!」
そして、数匹殺したものの、まだあちこちに出現している彼らを恨めしげな視線で見つめていたガラハッドの視線に、キエンの姿が入った。
「キエンさんっ!」
地獄に仏の気分、ここは、協力してもらい、2匹並ぶことのないよう、モンスターの気をひいてもらおうと、キエンに駆け寄ったガラハッドは、自分などまるっきり無視し、すっと行動に移ったキエンに足をとめて見守った。

−ゴロンゴロンゴロン・・・−
そのエリアにある岩のスイッチを次々と押し作動させた。
が、その進路上に砂のモンスターを誘うというわけでもない。
「キエン・・さん?」
無意識に、ガラハッドは安全地帯に身を寄せ、見つめていた。
-ゴロンゴロンゴロン・・−
まるで、岩のトラップと遊んでいるように、あちこち飛び回り、止まった岩は、すぐスイッチが押されていく。
−ぶちっ!ぐしゃ!・・・ごしゃ!−
至る所で大岩につぶされるモンスターの音がした。

それが数分続いただろうか。
モンスターの攻撃を避け、大岩につぶされないよう、うまくタイミングを計りながら動き続けるキエンは汗一つかく様子もなく、それは終わった。
まるでダンスでもしているように軽々とエリア内を飛び回っていた。

ゲーム終了〜〜〜。(なのか?)
全てのモンスターは押しつぶされ、奥の扉は鈍い音を立てて開いた。
−ピッ!・・・タン!−
開いたドアをくぐって出たキエンがカードのようなものを1枚投げ入れ、それはドアから一番近いところにあった大岩にささった。


「ん?」
そのキエンの投げたものが何なのか、確認する為に近づいたガラハッドは、じ〜っとそれを見つめていた。
そのカードらしきものには、こう書かれていた。
『認定書・DDR、スペシャルマスター』
「へ?な、なんですかな、これは?」
−ガコン−
「え?」
−ゴロロ・・・−
「わ、わ〜〜〜・・・・・!」
ふと動かした足がちょうどスイッチに乗ってしまったようだった。
思いもかけず、不意に動き始めた目の前の大岩にびっくり仰天。手にしていたカードを投げ捨て、ガラハッドは全速力で逃げ始めた。



「は〜は〜は〜・・・・・」
そして、次のエリアに来たガラハッドは、そこにあった壁にもたれかかって一息つく。そして、落ち着いてから探索に移った。

「あ、あれ?・・・・・・道が・・ありませんよ?」
そう、道はどこもかしこも壁で行き止まりとなっていた。
「おかしいですねー・・・キエンさんが先に進んだはずなんですから、出会わないということは、道があるはずなんですが・・・」
転移の石で街へ戻ったのかとも思いつつ、ガラハッドは探索を続けた。

「あっ!」
そして、ようやく見つける。壁の一カ所に、下の方に小さな穴があったことに。
「キエンさんはこの穴をくぐって先に進んだんですな。」
一人納得してつぶやくガラハッド。
そして、その狭さに大丈夫かと心配しながらも、くぐろうとする。
−グググッ−
「き、きつい・・ですな・・・・か、かなりというか・・・・」
「何やってんだよ、おっさん?」
「え?・・・そ、その声はディーくんですな?・・何って・・・この穴をくぐり抜けようと思いましてな・・・そ、それが・・・」
「・・ったく・・・そんなの穴を見りゃ、抜けられるかどうか分かるだろ?」
あきれかえったようなディーの声が返ってきた。
「そ、それはそうですが、無理矢理でも入れればなんとかなるかな?とか思った次第で・・・・」
「は〜あ・・他に道はないんだぜ?」
「どうしたんですか?」
「あ・・・なんだ尼さんか。」
「ク、クレールさんですか?」
「はい。」
にっこりを笑ってガラハッドに答えてから、クレールはディーに視線を移す。
「向こうに出られないんですの?」
「ああ、そうらしいんだ。まったく迷惑だよな?だいたいこの巨漢で通ろうなんて思うのが無理だよな?」
「そ、そうですね。」
「あんたじゃ力なさそうだから手伝ってもらっても仕方ないか・・・ちょっと退いててくれ。抜いてみるからさ。」
「あ、はい。」
そして、あらん限りの力でディーは、しっかり挟まってしまったガラハッドを引っ張る。
が・・・抜き出る気配もない。
「う〜〜ん・・・どうすりゃいいんだ?」

「そうだわっ!」
パン!と手を叩いたクレールは、何かいいアイデアが浮かんだらしく瞳が輝いている。
「ク、クレールさん?」
出られるのは嬉しいと思いつつ、その反面ふとガラハッドの脳裏に不安感が沸き立つ。
「あたし、さっき向こうで大カエル倒してきたの。」
「へ?大カエル?」
「そう。メルメラーダさんのご機嫌そこねてしまったみたいで、怒らせてしまったの。そうしたら、メルメラーダさん、大カエルを召還して・・・。」
「大カエル・・・」
それがどう関係有るのだろう、とガラハッドもそしてディーも考えていた。
「向こうで倒れたままになってるから、それを金槌の代わりにして思いっきり叩いたらどうかしら?」
「あ!」
「ええっ?!」
なるほど!と納得するディー。そして、思いもかけないその方法にぎょっとするガラハッド。
「少し痛いかもしれないけど、でも、ずっとこのままでいるよりいいわよね?」
「そりゃそうだぜ?な、おっさん?それくらい我慢できるよな?」
「あ・・・は、はい・・・・。」
できれば他の方法をと言いたかったが、2人の手前、そんな弱気なことは口にできない。
「じゃ、あたし、カエルさん持ってきますから。」
「ああ。」

「しっかし・・・大カエルでたたきだすなんて・・・よく思いつくよな、あの尼さん。やっぱ回線がどこか普通じゃないってか?」
「ディ、ディーさん・・・」
不安そうな声をあげたガラハッドをディーは面白そうに見ていた。


そして・・・
「す、すげ〜・・・・そんな大きな奴倒したのか、あんた?」
「え、ええ・・・でも、やっぱり生ものだから強度が足らないような気もするのだけど。」
「ああ、それなら大丈夫だ。石化の呪府持ってっから。」
「せ、石化?」
あわわわわ・・と思っても全てが遅い。
「いっくぜ〜〜〜!!!」
−ドゴ〜〜ンッ!−
思いっきり振り上げた大カエルの石槌で、ガラハッドは臀部に生まれて初めてと思えるほどの傷みを感じるとともに、勢い良く前へと飛び出した。
−ドゴーンッ!・・ドゴッ!、ガスッ!−
「ち、ちょっと力入れすぎたか?」
どうやら内部も幾重もの壁で区切られていたらしいそのエリア。その壁を次々に破壊して、ガラハッドの身体は飛んでいた。

「ひ、ひぇ〜〜〜〜・・・・」
次々と目の前に壁が立ちふさがる壁。進路転換などできるはずもなく、ガラハッドは、たった一つできること、両の拳を握りしめて前へと突きだして、顔(頭部)への直撃を避けつつ、進撃(?)していた。


「ど、どこまで行ったんだ?」
「そ、そうですね・・・・・」
遙か遠くまで飛んでいったガラハッド。しかも壁を破壊して。
「ま、なんだろ?おっさんなら頑丈そうだから大丈夫だろ?」


これで道を探さなくても奥へ進められる、とディーはにやっとし、にこっと笑ったクレールと共に先へと歩き始めた。

次のエリアへの転移の方陣までの道のり、壁で迷路のように仕切られ、要所要所に仕掛けられていたトラップと待ち伏せしていたモンスターの意味はなくなっていた。

「こ、これは・・・・破壊神か、はたまた魔人の仕業か?」
後にここを訪れた(ようやく?)調査隊一行は、その破壊され尽くした様子に愕然とした。が・・・苦労なく次のエリアに行けることは大歓迎したということは言うまでもない。



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