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【 緊急出動 ユックル&ニックル 】
〜Diablo Story No7〜



 忙しかった一日が終わり、双子のホビット、ユックルとニックルは、のんびりとくつろいでいた。
ユックルは、お風呂、ニックルは、トイレで大の方を・・・。と、その時、レッドランプが点滅し、非常警報がけたたましくなりだした!
−ズーーーーズーーーー!−
『緊急出動要請・・・繰り返す、緊急出動要請!』
「ええーーーーっ!何もこんなときにぃ・・・!」
慌てて二人は、それぞれしていたことを途中かけで、キッチンへと急ぐ。
「急げ、ニックル!」
「うん!ユックル!」
二人は、キッチンにあるオーブンめがけ突進する。
「あ!ニックル!そっちじゃないでしゅよ!そっちは、本物のオーブンでしゅよ!」
「あ!そうだったでしゅ!慌てていて間違うところだったでしゅ。」
「気をつけないとダメでしゅよ、ニックル!そっちのはさっきパンを焼いたところでしゅから、火傷してしまいましゅよ!」
「エヘヘ・・・」
照れ笑いをして、もう一つのオーブンの前に立っているユックルのところに駆け寄るニックル。
「まったくあわてんぼしゃんなんだから、ニックルは!」
「ごめんなしゃいでしゅ。」
「行くでしゅよ!」
「OKでしゅ!」
オーブンの扉をカタっとあけると、その上にあるバーを握りユックルは勢い良くその中へ飛び込む。つづいて、ニックルも!
−シュゥゥゥゥゥゥーーー!−
−ストン!ストン!−
オーブンの奥から繋がっている細長いダクトを滑り降り、二人は小型次元航行艇のコクピットのシートに座った。
−ウィィーーーン、ウィィーーーン−
二人が今下りてきたダクトが引っ込み、船の上部が閉まる。
ユックルが計器を操作しながら、りんとした声で言う。
「目標・・地下15階!」
「了解!目標、地下15階にセット!」
ニックルも忙しく計器を操作。緊張感が二人を包み込んでいる。
「と・・あ、あれ?」
「どうしたんでしゅか?ニックル?」
「今15階って言ったでしゅよね、ユックル?」
「うん、言ったでしゅ。」
「15階になんか、『 Thaumaturgic Shrine 』、というより、祭壇なんてありましたでしゅか?」
「あれ?そう言えばそうでしゅねー・・。」
しばし考え込む二人。
「あ!そうか!・・そうなんでしゅよ!」
ぽん!と手を打って大声を上げるユックル。
「分かったの?ユックル?」
「うん。ほら、大釜でしゅよ!ランダムに効果が現れるっていう地獄の大釜!」
「あ!そっか!そうだったでしゅね。そういえば、そんな物もありましたでしゅね。・・それで、祭壇がなくても、Thaumaturgic Shrine の効果である、そのフロアにある全ての宝箱の中身が復活って事でしゅね。」
「うん、そうでしゅね。」
「うーーん・・大釜か〜・・よく触る勇気があったでしゅね?」
「戦ってるうちに間違って触っちゃったんでしゅよ、きっと。」
「あ・・なぁ〜る・・・そうでしゅよね。」
「でも、運のいい人でしゅね、その人。」
「うん、そうでしゅね。・・では・・」
「では・・」
「ディアブロ・ホーク、スタンバイ!」
と、ニックル。
「エンジン始動!」
と、ユックル。
「スイッチ、オーーーン!」
二人が同時にそう叫ぶと、その小型艇は、小刻みに震え始める。
−ブゥゥゥゥーーーン!−
『ディアブロ・ホーク発進、10秒前!』
どこからかアナウンスが・・・!
『9・8・7・6・5・4・3・2・1・発進!』
「発進!」
そのアナウンスに合わせて二人が叫ぶ。
−シューーーン!−
空間が裂け、二人を乗せた小型艇は、次元の狭間を猛スピードで航行する。
−シューーーン!−
数秒後、小型艇は、ディアブロのダンジョン、地下15階に着いていた。

 「えっとー・・データによるとでしゅねー・・・」
ユックルは、自動探索装置で、宝箱の位置と入っていたアイテムを調べる。
そして、そのまま小型艇で移動しながら、入ったいたアイテムと同じ物を入れて回る。勿論、小型艇は、イリュージョンシールドにより、周りの景色にとけ込んでいるから見つかることはない。

 「あ!大変でしゅ!」
「どうしたんでしゅか?ニックル?」
「あのね・・前入ってたリングと同じものがないんでしゅよ。」
「ないのぉー?!・・ど、どうしよう?」
「んー・・・」
アイテムの入った袋を逆さにして中身を調べるニックル。
「ないでしゅねー・・・滅多に作れるものじゃないでしゅから・・。だいたいこの前、できたっていうのが奇跡的なんでしゅから・・。」
「どういうリングだったんでしゅか?」
「OBSリングオブZODでしゅ。」
「わお!そんなすごいのできたんでしゅか、ニックル?」
「うん・・偶然なんだろうけど・・・。」
ニックルは、エヘヘと照れ笑い。
「・・・それは、ちょっと復活できないでしゅねー。」
「うん・・・しょうがないから、普通のZODリングでいいでしゅよね?」
「・・ないものは、仕方ないでしゅよねー・・まぁ、いいでしゅよ、それで。」
「いいでしゅよね!」
と、割り切って、宝箱の中に適当に入れる二人・・・。

 「あ!ユックル、あそこ!」
後一つで、終わるという時だった。その最後の一つの宝箱を、一人の魔導士が開けようとしていた。
「ああーっ!まだだめでしゅよ、おじしゃん!」
二人は焦った・・・神聖なる効果は、絶対のもの。中身くらいは、ちょっとごまかしても、入っているべきの宝箱が空だったのでは、仲間に知られた時、示しがつかない。二人の信用に関わってくる。ひいては、二人の祖父、キルトン
の信用に。
「そ、そうでしゅ、時の女神様にお願いするでしゅ!」
ニックルが叫んだ。
「うん!」
「慈悲深き時の女神・・・・」
両手を胸で合わせて、呪文に入っていたニックルが急に唱えるのを止め目を開ける。
「あ・・あれ?」
「どうしたでしゅか?ニックル?」
そんなニックルを不思議そうに見るユックル。
「・・女神様の名前、忘れちゃったでしゅ・・。」
「ええーーっ!?」
ユックルが驚きの声を上げる。
「ユックル、覚えてましぇんか?」
「・・ごめん・・ボクも覚えてないんでしゅ・・。」
二人は顔を見合わせ、大きくため息・・・・。
「・・もっと真剣に授業を聞いておくべきだったでしゅねー。」
後悔先に立たず・・二人は、いたずらばかりして、真剣に聞いてなかった事を心から悔いた。(多分、一時的な反省。)
「ああーーっ!開けちゃうでしゅよーっ!」
ちらっと魔導士を見たユックルが叫ぶ。
「え、えと・・・慈悲深き時の女神よ、我らに加護を。その御手もち、かの者の時を一時止めたまへ・・・そのやさしき息吹にて、かの者を包み込みたまへ・・・『タイム・イズ・マネー!』」
「ち、ちょっと、ニックル!最後の呪文も違ってましゅよ!」
「やっぱ違ってましたでしゅか?・・でも、思いつかないでしゅよぉ・・。」
自分も覚えていないユックルは、半べそのニックルに文句も言えず、ため息をつく。
「で・・でも・・・」
驚きの表情で、魔導士を指さすニックル。
「め、女神様って、すっごく心の広い方なんでしゅね。」
なんと、でたらめのあの呪文で、魔導士の時は止まっていた。
「あ、ありがとうございましゅ、女神様!」
二人は、心の底から感謝しつつ、宝箱へと急ぎ、中身を納めた。
「ふーーー・・・一時はどうなる事かと思いましたでしゅよ。」
「うん・・あ!」
「何?ユックル?」
「この宝箱って、罠が仕掛けてあったんじゃなかったでしゅか?」
「あ!そういえばそうでしゅ!確かファイアーボールだったでしゅ!」
慌てて罠を仕掛けると、船へ戻った。
「つ・・疲れたでしゅねー・・。」
「うん・・こんな事初めてでしゅ・・。」
ほっとした二人は、そのまま魔導士を見ていた。

魔導士が宝箱を開ける。
−シューーー、ボン!ポン、ポ、ポ、ポーーーン!パン、パ、パーーン!−
その途端、花火が上がる。
「たっまやーっ!」
「かっぎやーっ!」
二人が掛け声をかける。
「綺麗でしゅぅー。」
パチパチパチ!と拍手して、それから、はっとして顔を合わせる二人。
「げ・・・花火?!」
二人同時に叫ぶ。
魔導士はというと、あまりにも予期しえなかった出来事に、硬直状態。目をぱちくりして、花火の消えたあとを見上げている。
「フ、ファイアーボールのタネの代わりに、間違って、花火のタネを入れちゃったみたいでしゅねーー。」


 ここは、ホビットの双子の部屋。ベッドの上では、二人が少し苦しそうな表情で何やら寝言を言っている。
と、突然、二人同時にがばっと起き上がる。
「ゆ、夢だったんでしゅか・・。」
ニックルが、ほっと息をつきながら小声で言う。
「そ、そうみたいでしゅね。」
双子のため、二人はいつも同じ夢をみる。だから、夢の内容は聞くまでもない。
「でも、カッコよかったでしゅね、あのお船。」
「うん・・あんなのあったらいいでしゅ〜。」
「うん!」
「ん?・・・・」
なんとなくお尻のあたりがおかしいと感じる二人・・・。
「あっ!」
「あっ!」
最初にユックルが、そして、ニックルが小さく叫んだ。さあーっと顔から血の気がひく。二人とも真っ青。
「・・・・。」
無言で見つめ合う二人。そして、おもむろにベットから出て、布団を運び始めた。
「早く、ニックル!かあちゃに見つかる前に洗濯しちゃいましゅよ!」
「オ、オッケイ!」
「ふ、服も替えなくっちゃ!」

 ユックルは小の方・・・ニックルは大の方を・・・。
 どこに行っても怖いもの知らずの二人、だが、一つだけ怖いものがあった。
それは、かあちゃの雷・・・お尻100発の刑・・・。



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【DIABLO】