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【 指輪物語 その4 】
〜Diablo Story No2〜



 「ガッハッハッハッハーーーー!てな訳でよぉー、予知夢だか何だか知らねぇが、とにかくそんな夢で目が覚めたら、こいつがいた訳よ。」
ここは、修道院の地下に広がる魔の空間の13階。そこの一角。
魔導士のロキは、仲間と共にここまで降りてきて、命からがら逃げ込んだのが、ここ、人間とサッキュバスの夫婦者?が営んでいるらしい武器屋だった。
さほど広くはないが、こじんまりしたその店内には、仮眠用の長椅子が一つと、テーブルとイス、それに、結構いろいろな武器や防具、アイテムが並べてある。
傷も癒え、どういった訳でここにいるのか聞いたところ、主の不思議な体験を聞かされたところだった。
「もしかしたら、あれは本当の事だったかもしれん。あいつか他の誰かの魔力で、俺の時を戻したのかもな?」
主は、顎で奥にいるサッキュバスを指し、小声で言った。
「・・・かもしれませんねぇ・・・」
ロキもそう思っていた。
「げに恐ろしげは、女の嫉妬だぜ。多分俺が女と一緒だったから、かあっときちまったんだろ?」
「ははは・・多分。」
出されたスープに喉を潤しながら、ロキは同意した。
「あんたも気をつけな。やきもち妬くのは、人間の女も一緒だぜ。」
「はは・・そうですね。気をつけます。」
「ま、とにかく、そんな訳でな。情にほだされちまって、ここを離れれなくなっちまったんだ。下手に地上(うえ)に行って、また同じ事しちまってもいかんからな。で、思いついたのがこの商売ってわけさ。何にもしねぇってのも、
よくねぇからな。」
「そうですね。それが賢明でしょうね。でも・・・」
ロキは、果たしてそれでいいのか?と問いそうになったのを、慌てて飲み込み口ごもった。人間として、魔王の完全復活の近い今、闇に飲み込まれようとしている世界を、このまま見過ごしていていいのか・・・と。仮にも命の恩人である。もしここがなかったのなら、数時間前に命は尽きていたはずだった。
が、主は、ロキの言葉の先を見通していた。
「どっちにしろだ・・」
サッキュバスを見ながら話を続けた。
「闇に支配されるにしろ、魔王、ディアブロを倒し、人間が平和を手に入れるにしろ、俺達の命はそれまでさ。奴が人間を認める訳はないし、また、この空間がなくなれば、あいつは、消滅しちまうだろう。そん時ゃ、俺も・・・な。」
「・・・・・」
「確かにこんなところで、のほほーんとしてるのは卑怯だろう・・だが、まぁ、何とでも思ってくれ。俺には、これしか思いつかんかった。」
ロキは、スープの冷めるのも忘れて、話に耳を傾けていた。
「はっはっは!デビルに惚れちまったんだから、しょうがねぇよな?ま、こんなバカもいたんだって思ってくれ。」
「親父さん・・・」
「おい、せっかくのスープ、冷めちまうぜ。」
「あ・・はい。」
言われて気づき、再びスープを飲み始めたロキに、独り言のように話を続けた。
「この武器屋のある空間は13階を次元移動してるんだ。だいたい人間とモンスターの戦闘のない所に出ることになってる。やっぱり、戦ってるって知りゃー、俺は、人間に手助けしたいし、あいつは、仲間を助けたいだろうしな・・ま、いわば中立ってやつかな?戦闘の後の傷ついた仲間は、お互い助けるけどな。」
「え?じゃ、もしかして、ここにデビルも?」
ぎょっとして顔色を変え、店内を見渡すロキ。
「ははは!心配しなくてもいいぜ。奥の出入り口からがモンスター用になってるさ。奴らは中には入って来ねぇしな。ま、あいつが傷の応急手当をしてやってる程度さ。多少の傷は、ほかっといても治るらしいがな。あんまり酷い傷の場合な。」
「ああ・・そうなんですか。」
ほっとして、顔色も少しずつ元に戻っていく。
「あ・・でも、その次元移動って、もしかして、ブッチャーやレオリック王の居住空間と一緒ですか?」
「まぁ、そんなとこだろう。あいつらのほど上級じゃないらしいがな。」
「そうなんですか・・・。」
「期待してもダメだぜ。俺にゃ、どうなってんだかさっぱり分からねぇからな。」
主は、おそらくロキが次に言うだろう言葉を読み、苦笑いしながら言った。
「ははは・・・それは、残念です。」
ロキは、照れ笑いを返す。
「結構ここまで来るにゃ、みんな苦労してるだろうし、この先はもっとだ。ま、こんなところがあってもいいんじゃねぇか?」
「それもそうですね。私もおかげで助かりましたし・・・」
「ああ・・仲間にゃ気の毒な事したが・・・」
「・・・仕方ないです・・・」
ロキは、ここまで一緒に来た仲間を思いだしていた。助けなかった事を責めるべきでも権利もない・・・全ては運命・・・・自分だけが助かったのも。
「街に戻ったら、ここのお助け小屋の事を話しておきます。結構重宝するんじゃないでしょうか?」
「ははは!お助け小屋か・・・卑怯者と罵る奴もいるだろうがな。」
「・・・。」
「ま、言いたい奴にゃ、言わせておくさ。事実は事実。俺はあいつとここにいる。」
「ですね・・。」
「お?お代わりはどうだ?」
スープが空になっているのを見て、主が言う。
「あ・・はい、じゃあ、もう少し。」
「ほいよ。」
皿を持ち、奥へスープをよそいに行く。
「あったけぇうちに飲みな。さっきは俺がいらん事話しちまったから、冷めちまっただろ?久しぶりの人間だもんでな、ついつい話に夢中になっちまった。」
「あ・・いえ、そんな事もないです。」
ロキは、出された熱々のスープに舌づつみをうつ。ちょっと不思議な味がするが、結構いける。
「あの、材料は何なんですか?」
ふと、ここには人間の食料などない事を思い出す。
「口に合わねぇか?」
「いいえ、おいしいですよ、これ。」
「そうかい、そりゃーよかった。体力が付くぜ、それは。」
にやっと笑い、主は少し意地悪そうに言う。
「カタコンベにいるコウモリと死肉を喰らってやがるスカベンジャーさ。」

 

[The End]

【DIABLO】